屈折した幸福感を味わうストロベリーナイト

主人公は、宝生麗子といういかにもセレブな名前なんだけど、困った事に執事の影山の下の名前は分かりません。ストロベリーナイトショーは、東川篤哉の短編推理小説で、お嬢様刑事とイケメン執事が大活躍する物語です。
それに、テレビ版のストロベリーナイトショーでは、麗子の上司に当たる頸部の氏名は風祭京一郎となっているのですが、原作の小説には苗字しか出て来ず、名前は不詳。
そういう意味では、あの斬新さがあったお陰で大ヒットしたものと思われますね。
おまけに、その後に嵐の櫻井翔君主演でテレビ版のストロベリーナイトショーが始まったものだからもう大変、正しく女性の心をガッチリ掴んだ訳です。
という事で、今年の夏には映画館にも登場するストロベリーナイトショー、未だ未体験の方は、関連のブログやサイトでその謎を覗いて見ましょう。
ストロベリーナイトショーも、ドラマだけを見ている人はコメディーという印象が強いかも知れませんが、小説を読めば、そのイメージは大きく変動する事でしょう。
確かに、奇抜なキャラクターや背景設定はそのままですが、事件のトリックについては、かなり緻密に、そして巧みに描かれています。

ストロベリーナイトショーを書いた推理作家、東川篤哉は、元はかなり本格的なミステリーを手がけていました。
ただ、あのストロベリーナイトショーについては、元々活字や推理小説を苦手とする女性陣立ちに受け入れられるようなミステリーをという事で描かれた作品。
その辺りをはじめ、それこそ謎解きしたい事がいっぱいのちょっとユニークなミステリー、それがストロベリーナイトショーだと言えるでしょう。
それも、犯人と刑事との駆け引きではなく、影山や風祭と麗子との駆け引きで、事件の重さからは想像も出来ないほどの軽い駆け引き。